Shiroです。前回は子どもがしてしまいがちな非効率なフォームと個人的に考える共通点について記事にしました。
今回はフォームの改善に重要であり、私が臨床実習でも苦心した「声かけ」について綴ります。
選手の育成は「声かけ」が中心となる
スイミングスクールで私は主に以下の2つのコースを担当しています。
- ジュニアコース(綺麗な泳ぎ方を習う)
- 選手コース(速い泳ぎを習う)

ジュニアコースでは主に初めての泳ぎ(動き)を段階的に習得していくため、安全上からも数人ずつ子どもを泳がせながら、手足をコーチが補助的に動かすことがメインの指導になり、声かけは最初の動きの導入とイメージの補完を行うために使用します。 一方で選手コースの子どもたちは4泳法をマスターしているため、コーチは声かけと自分の組んだ練習メニューによって子供たちが速く長く泳ぐことを目標とします。同時に泳ぐ人数も桁違いになるため、指導にプールサイドからの声かけの比重が増します。
自分の声かけが逆効果になってしまった経験
声かけについて、私ももうコーチになって3年目になりますが、いまだに「今の声かけミスったかも…」と思う場面は多々あります。
- 背泳ぎの指導の際、「顎を引いて」という言葉が子どもには伝わらず、子どもが水をかぶってしまった。
- 一本目から全力を出す練習であるのに選手に伝え忘れ、練習の効果を最大限発揮できていない子がいた。
- リアクションタイム(飛び込みの反応速度)が改善しない選手に何度同じ指摘をしてしまい、声のかけ方を変えるまで改善させることができなかった。
- クロールの息継ぎが苦手な子どもに、一般的に呼吸しやすくなるとされる方法を伝えたところ、かえって息継ぎをさせにくくさせてしまった。
- 背泳ぎのキックの指導で「つま先が少し出るくらいには蹴り上げて!」といったところ、つま先を上げることが先行してしまい、足首を曲げてキックするようになってしまった。
以上の失敗は「伝わる言葉を使っていない」、「説明不足」、「説明のバリエーション不足」、「過度な一般化」「手段と目的の混同」などの原因が考えられますが、いずれにしても声かけは子供のパフォーマンスに大きくかかわると言える実体験だと思います。
臨床実習での失敗と改善
私は先月病院実習に行ってまいりました。その中で最初にご指導いただいたのが「声かけ」についてでした。
指導者の先生から言われたのは、
「緊張しているからなのか、評価(検査)の時の説明が丁寧すぎるというか、なくてもいい言葉が混ざっていてわかりにくくなっているときがあるね」
というものでした。
私の指導者は脳血管疾患のチームのPT(理学療法士)さんであったため、麻痺の程度を診る検査(SIAS-m)をとることが多くありました。一般に麻痺の検査は指定の動きができるかどうかで重症度をはかります。理学療法士は患者さんの動きを一定の基準に従って観察し、現状の把握や、予後予測などを行うことで治療プログラムを組み立てます。
しかし私は最初、
- どのような動きをしてほしいのか
- 何を目的とした動きなのか
- 左右どちらの手足から動かすのか
といったことを一度に説明しようとしてしまったり、頭の中のごちゃごちゃした検査方法のイメージをだらだらと話してしまったりと散々な評価をしてしまいました。
私は帰宅後すぐに
「この評価の目的は○○だから、患者さんの動きのこの部分を診る必要がある」
という目的を動きごとに整理し、プロセスを構造化し、患者さんへの説明や声かけもしてほしい動きを区切ったり、事前に探したわかり言葉を用いたりしてみました。

すると次に同じ評価を行った際には、患者さんもスムーズに動いてくださり、結果の判定も明瞭になりました。
この経験を通して私は、相手に伝えることは、正しい知識をもつだけでは足りず、様々な工夫の方法があることを強く実感しました。
この考えは理学療法評価のみならず、スクールの子供への声かけにも当てはまるものであると考えています。
まとめ
子どもに対しても、患者さんに対しても、声かけというのは想像以上の影響を与えることがあります。
うまくいかないことがあった時、それは本人の努力不足や理解力、運動能力の問題ではなく、こちらの伝え方が合っていなかっただけということも少なくありません。
声かけにただひとつの正解というものはないかもしれません。
しかし「この言葉で何を伝えたいのか」「どうすれば相手が動きやすいか」を考え続けることは、指導でも臨床でも、必ず相手の動きを引き出す力になると感じています。
これからも、
保護者の方には「現場で何が起きているのか」を、
理学療法を学ぶ学生の方には「実習や評価で悩んだときのヒント」を、
それぞれ少しでも届けられるような発信を続けていきたいと思います。


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