shiroです。世間はゴールデンウィークですね。私はひたすら研究です🤣
体力がいくらあっても足りないですね…
水泳の世界でも体力は度々話題になりますが、正確に「体力」というものを理解している方はなかなかいないのではないでしょうか?
今回は水泳における「真の体力」とそのつけ方を解説していきたいと思います!
ぜひ参考にしてみてください!
なぜ後半のタイムは落ちるのか
選手から「後半落ちないようにするにはどうすれば良いですか?」という質問をよく受けます。
ただしはっきり言って、
後半のタイムが落ちるのは至極当然のこと
です。
実際、オリンピックに出場するような選手であっても、前半より後半のタイムは落ちています。
ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか。
水泳では、運動中に使われるエネルギーの供給方法が時間とともに変化します。
(Maglischo, 2003)
スタート直後は、瞬間的に大きな力を発揮できる無酸素系エネルギーが多く使われますが、それは長くは続きません。
その後、有酸素系エネルギー供給へと徐々に移行していきます。
この変化の中で起こるのが、
・筋疲労
・呼吸応答の増大(換気量の増加)
といった生理学的反応です。
これらにより、後半ではパフォーマンスが低下し、タイムが落ちるという現象が起こります。(Toussaint, 1990)

水泳における「真の体力」とは何か
体力という言葉は、実はいろんな能力をひっくるめた概念です。
筋力や瞬発力、筋持久力など、すべて体力に含まれます。
しかし多くの場合、「長い時間動き続けられる力」がイメージされることが多いのではないでしょうか?
実はこの能力は、大きく2つに分けることができます。
① VO₂max(有酸素能力)
長時間動き続けるための基盤となる能力です。
酸素を利用したエネルギー産生能力であり、持久力の土台となります(Barbosa, 2010)。
② 耐乳酸能力(無酸素系)
高強度の運動をどれだけ維持できるかに関わる能力です。
特に短距離種目のレース後半やラストスパートに大きく影響します(Figueiredo, 2013)。
この2つは異なるエネルギー供給の特性を持ちながら、同時にパフォーマンスに関与しています。
エネルギー供給とトレーニングの関係
身体が行うエネルギー供給の方法とその機能は単に時間経過で変化するだけでなく、トレーニングによって向上させることが可能です。
無酸素系エネルギー供給は、短時間で大きな出力を発揮する能力に関わり、超高強度・短時間の反復トレーニングによって向上します。
一方で、有酸素能力はエネルギー供給の土台であり、これが高いほど後半の失速を抑えることができます(Hellard, 2008)。
さらに水泳において特に重要なのが、耐乳酸能力です。
これは無酸素性代謝によって生じる代謝産物に対する耐性および処理能力を示し、高強度・高回数・長い休憩時間のトレーニングが効果的です。
特に水泳では、「どれだけエネルギーを持っているか」だけでなく、
「そのエネルギーをどれだけ効率よく使えるか」が極めて重要になります。(Toussaint, 1990)
長く泳ぎ込んでも後半に失速する理由
同じ練習をしていても、
「あの選手は後半落ちにくいのに、自分は大きく落ちる」
という経験はないでしょうか。
多くの場合、以下の要因が関係していると考えることができます。
・ペース配分のミス
・フォームの崩れ
・動作の再現性の低下
特に重要なのが、動作の再現性です。
動きが安定していなければ、エネルギー効率は低下し、結果として失速につながります(Barbosa, 2010)。
ストローク数という評価指標
しかし、その再現性とやら、どうすれば身に着けることができるのでしょうか?
そこでおすすめなのが、
ストローク数
です。
ストローク数は非常に有用な指標であり、
・フォーム
・呼吸
・キック
・推進効率
といった複数の要素の影響を受けます。
つまり、ストローク数を見ることで、泳ぎの状態を客観的に把握することができます(Seifert, 2010)。

ストローク数の活用方法
ストローク数を用いることで、
・普段の泳ぎとの比較
・ベストとの比較
・レース中の変化分析
が可能になります。
例えば100m自由形において、いつも通り泳いだつもりでも、次のような変化があったとします
- 最初の25mのストローク数がいつもより少ないのにタイムは同じ
- ラスト50mのストローク数がいつもより多く、タイムは同じ
この時、前者は
ひとかきで進める距離が伸びた、またはキックが強化されたなどが考えられますね。
後者は疲労によりストロークの乱れが起こり、動作効率が崩れている可能性が考えられます。
このように、タイムが同じであるときでも、ストローク数を分析に使うことで詳細な反省が可能であり、レースをより価値あるものにできます。
新たなペース配分を試すときにも有効であり、タイムと合わせて考えることでより戦略的にレースを展開することができます。
そして、これから紹介する練習においても、ストローク数を一定にし続けることを意識できるだけで、練習の効果は格段に変わると私は考えています。
体力をつけるための練習
さて、ここからは実際に体力をつけるための練習を紹介していきます。
① VO₂max向上(有酸素系)
目的:持久力の土台形成
基本原理:高強度+短時間の休憩
例:
100m × 10本 1分30秒サイクル
ストローク数を毎回記録
HR180以上になるくらいの強度をキープ
② 耐乳酸系(無酸素系)
目的:高強度維持能力の向上
基本原理:超高強度+長時間の休憩orアクティブレスト
例:
50m × 8本 5分サイクル
ストローク数を記録
一本目からタイムを出すことをとにかく意識
③ 再現性トレーニング(最重要)
例:
50m × 8本
ストローク数固定+タイム一定
●実践方法
濡れても書ける用紙を使用し、
一本ごとにストローク数を記録します。
練習後に配布し、選手自身が振り返りを行います。
同時に指導者側でもデータを蓄積します。
これにより、体力を
「感覚」ではなく「データ」として扱うことが可能になります。

まとめ
体力をつけるために重要なのは、単に泳ぐ量を増やすことではありません。
・自分の泳ぎを評価する
・再現性を高める
・適切な負荷をかける
これらを組み合わせることが重要です。
ストローク数という指標を活用することで、
自分の状態を客観的に把握し、効率的に体力を向上させることができます。

参考文献
- Maglischo, E. W. (2003) Swimming Fastest
- Toussaint, H. M. (1990) Biomechanics of competitive front crawl swimming. Sports Medicine
- Seifert, L. et al. (2010) Arm coordination, power, and swim efficiency. Journal of Sports Sciences
- Hellard, P. et al. (2008) Training adaptation in elite swimmers. European Journal of Applied Physiology
- Barbosa, T. M. et al. (2010) Energetics and biomechanics in swimming. International Journal of Sports Physiology and Performance
- Figueiredo, P. et al. (2013) Energy cost and performance in swimming. Journal of Sports Sciences



コメント