水泳のための自己流ダイナミックストレッチ-練習前やレース前のウォーミングアップにやりたいこと-

shiroです。
このごろ土曜日投稿よりも日曜日投稿の方が都合がいいと感じ始めてきました…
時間の使い方はどうしてもうまくなれないですね😓

さて、そんな時間の使い方が大事な要素としてウォーミングアップがありますね。
陸上アップや水中アップ、食事のタイミングなど、スポーツをやっていると時間の使い方はとても気にされると思います。

今回は陸上アップに関して、時間や効率を意識したダイナミックストレッチメニューを考えてみました。

現在行っているメニューに追加して行うことも可能なくらいの短さのメニューなので、ぜひ参考にしてみてください。

自己流ストレッチメニューを作ろうとしたきっかけ

今年のGWも合宿が行われ、私の所属する店舗もそれに参加したのですが、改めて強く感じたことがあります。それは

「水泳の陸トレやウォーミングアップに対する意識は、チームによってかなり差がある」

ということです。

もちろん、どのチームも一生懸命取り組んでいると思います。
ただ、その中でも特に差を感じたのが「陸上トレーニング」の部分でした。

他店舗では陸上トレーニングをしっかりと行っており、特にウォーミングアップでは練習前に選手たちがまとまって行っているらしく、私の所属する店舗の課題であると感じました。

競泳という競技は、

  • 肩まわり(肩甲帯)
  • 背中や肋骨まわり(胸郭)
  • 体幹
  • 股関節
  • 足関節

など、全身が連動して初めて効率よく泳げる競技です。

つまりウォーミングアップによって、

「泳ぐための身体を、陸上で事前に作る」

こういったことができるかが、パフォーマンスに大きく影響します。

そこで今回は、私自身がスクールで導入を考えている、

「競泳特異性」と「現場実装性」を両立したダイナミックストレッチメニュー

を整理してみました。

今回重視したのは、

  • 少ない種目数で全身を網羅できること(網羅性)
  • 水泳姿勢を再現できること(特異性)
  • 練習前だけでなく試合前でも実施できること(環境適応性)
  • 短時間でも身体を温められること(時間効率)
  • 神経系を活性化し、“動ける状態”を作れること(神経適応)

です。

特にレース会場は環境も違い、より制約がきついため、練習用とレース用の2パターンを考案しました。

ダイナミックストレッチとは?

まず、皆さんはダイナミックストレッチという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

ダイナミックストレッチを正確に説明すると、
身体を動かしながら関節可動域を広げ、筋肉の温度と血流を上げて柔軟性を向上させる運動です。

一般的な静的ストレッチ(止まったまま筋肉を伸ばすストレッチ)とは異なり、

  • 心拍数上昇
  • 筋温上昇
  • 神経系活性
  • 関節可動性向上

を同時に行いやすい特徴があります。

競泳では特に、

  • ストリームライン
  • ローリング
  • キャッチ姿勢
  • 体幹固定
  • キック動作

など、水中特有の姿勢を作る必要があります。
そのため単純な柔軟体操ではなく、

実際の泳ぎに近い形で身体を準備する

ということが必要です。

実際ウォーミングアップに関する研究では、
 ・動的ウォームアップはパフォーマンス向上に有利であること
 ・可動域改善と出力維持を両立しやすいこと
 ・静的ストレッチ単独より競技前に適している可能性が高いこと
等が報告されています。(Behm et al., 2016)

Behmらのシステマティックレビューでは、静的ストレッチは平均で約3.7%のパフォーマンス低下を示した一方、ダイナミックストレッチでは約1.3%の向上が示されました。また、60秒以上の長時間静的ストレッチではパフォーマンス低下がより大きくなる可能性も報告されています。

またMcGowanらは、ウォームアップの目的を
 ・筋温上昇
 ・神経系活性化
 ・可動性向上
 ・心理的準備
などに整理しており、身体を柔らかくするだけでは不十分であることを示しています。

さらにNeivaらは、競泳では水中アップだけでなく陸上アップも重要であり、特に短距離種目では神経系刺激や出力準備が重要になると報告しています。(Neiva et al., 2014)

今回のメニューで重視する条件

①少ない種目数で全身を網羅できること

長時間のウォーミングアップは現実的ではありません。

そのため、

  • 肩甲帯(肩まわり)
  • 股関節
  • 胸郭(背中・肋骨まわり)
  • 内転筋群
  • 体幹
  • 神経系

を、なるべく同時に刺激できる構成を重視しました。

特に競泳では、一部分だけを動かすよりも全身を連動させることが重要なためです。

②競技特異性をクリアしていること=泳ぎの中の動作を再現できること

単に肩を回すだけではなく、
・ストリームライン
・ローリング
・けのび姿勢
・うねり
・キャッチ姿勢
など、

泳ぎに近い姿勢

を含めることを重視しました。

水泳において、陸上で作れない姿勢は水中でも作れないためこちらも非常に重要です。

③ 神経系を活性化できること

競泳は柔軟性だけではなく、
・反応速度
・リズム
・協調性
・動作の切り替え
も重要になります。

そのため今回は、

・スキップ
・ジャンプ
・合図反応
・ダッシュ

なども組み込みました。

研究ベースでもNeivaらは、競泳パフォーマンスにおいて、神経系刺激を含むウォームアップが重要である可能性を示しています。(Neiva et al., 2014)

④試合会場でも実施できること

こちらについても今回はしっかりと考えます。

例えば、練習前なら床に手をつく種目もできますが、試合会場では外でやる必要があったり、人が多かったり、場所が狭かったりするため、立位中心で実施できる構成にもしました。

⑤現場で毎日回せること

理論上優秀でも、
 ・指導が複雑
 ・時間が長い
 ・場所を取りすぎる
では継続できません。

そのため今回は15mを1往を基本単位にし、

  • 大人数でも実施しやすい
  • 指導しやすい
  • 心拍数を上げやすい

構成を意識しています。

実際の種目紹介

① ローテ―ション・ランジ

方法

  • 脇を90°開いて肘を90°曲げる
  • 大きく前へ踏み込む
  • 後ろ脚の膝を地面に近づける
  • 体幹を回旋する(目線は固定)
  • 左右交互に15m進む

狙い

  • 胸郭可動性
  • 股関節伸展
  • 体幹連動

を同時に刺激します。

泳ぎとの関連

はやく泳ぐためには、身体の回旋や伸びが不可欠です。

この動きはクロールや背泳ぎのローリングや、ボディポジションの維持につながります。

②ストリームラインサイド・ランジ

方法

  • ストリームラインを組む
  • 四股文のように横に大きく踏み込む
  • 体感は腹圧を入れて固定する
  • 左右交互に15m進む

狙い

  • 内転筋群
  • 股関節
  • 体幹側面
  • 肩甲帯

を同時に刺激します。

水泳との関連

特に、

  • 平泳ぎキック
  • バタ足の安定
  • ストリームライン保持

で重要になります。

③股関節回し

方法

  • 前へ歩きながら行う
  • 片脚を持ち上げる
  • 股関節を大きく外回しする
  • 骨盤ごと流れないように意識する
  • 左右交互に15m進む

狙い

  • 股関節可動域向上
  • 骨盤周囲の動き作り
  • 股関節内外旋の活性化

を目的に行います。

水泳との関連

競泳では、

  • キック動作
  • ストリームライン時の下半身保持
  • 平泳ぎの股関節外旋
  • ドルフィンキック時の骨盤運動

など、股関節の自由度が重要になります。

特にジュニア選手では、

「股関節を大きく動かせるか」

だけでなく、

「骨盤を安定させながら動かせるか」

も重要になります。

歩行動作を加えることで、

  • 片脚支持
  • バランス
  • 骨盤制御

も同時に刺激できるのが特徴です。

④ スキップ+肩回旋

方法

  • スキップしながら進む
  • 肩を前回し
  • 後ろ回し
  • 時々大きく腕を開く

を組み合わせます。

狙い

  • 心拍数上昇
  • 神経系活性
  • 肩関節可動性

を同時に行います。

水泳との関連

競泳では、

「肩を大きく動かしながら全身でリズムを作る」

ことが重要です。

特にジュニアでは、かなり有効な種目です。

⑤ リアクション・けのび・バースト

方法

合図を出す人を決め、その合図で、足踏みをその場で素早く行います。その後2度目の合図で

  • ジャンプ
  • ストリームライン
  • 5mダッシュ

を素早く行います。

狙い

  • 神経系賦活
  • 出力準備
  • スタート反応

を高めます。

水泳との関連

短距離種目やレース前では、

「素早く力を出せる状態」

を作ることが重要になります。

Neivaらは、競泳前のウォームアップでは出力準備や神経系刺激が重要である可能性を示しています。(Neiva et al., 2014)

⑥モモ上げ

方法

  • 軽くリズムよく前進する
  • モモを腰の高さ付近まで引き上げる
  • 腕も自然に振る
  • 接地を短く素早く行う
  • 15mをテンポよく進む

狙い

  • 心拍数上昇
  • 筋温上昇
  • 神経系活性
  • リズム作り

を目的に行います。

水泳との関連

競泳では、

「身体を素早く動かせる状態」

を作ることが重要になります。

モモ上げは、

  • リズム形成
  • 下半身の切り返し
  • 接地反応
  • 全身協調

を短時間で刺激しやすい種目です。

また、ウォームアップでは筋温上昇や神経系活性が重要であると報告されています (McGowan et al., 2015)。

⑦インチワーム

方法

  • 立位から前屈する
  • 手を前へ歩かせる
  • プランク姿勢を作る
  • 肩甲骨を軽く動かす
  • 足を手元へ戻す
  • 繰り返しながら前進する

狙い

  • 体幹賦活
  • 肩甲帯安定
  • ハムストリングス伸張
  • 全身連動

を同時に刺激します。

水泳との関連

競泳では、

  • ストリームライン保持
  • キャッチ時の体幹固定
  • 肩甲帯安定
  • “伸びる姿勢”

が重要になります。

インチワームでは、

「手で支えながら体幹を安定させる」

必要があるため、

水泳の支持感覚と相性が良い可能性があります。

また、競泳では陸上ウォームアップによる神経系刺激や姿勢準備も重要であると報告されています (Neiva et al., 2014)。

ただし、試合会場では実施しにくいため、今回は「練習前用」として採用しています。

実際のメニュー例

最小構成(約5分)

練習前

  • モモ上げ
  • ローテ―ション・ランジ
  • インチワーム

試合前

  • モモ上げ
  • ローテ―ション・ランジ
  • リアクション・けのび・バースト

標準構成

練習前

  • モモ上げ
  • 股関節回し
  • スキップ+肩回旋
  • ローテ―ション・ランジ
  • ストリームライン・サイド・ランジ
  • インチワーム
  • リアクション・けのび・バースト

試合前

  • モモ上げ
  • 股関節回し
  • スキップ+肩回旋
  • ローテ―ション・ランジ
  • ストリームライン・サイド・ランジ
  • リアクション・けのび・バースト

まとめ

今回メニューを考える中で最も重視したのは、

「短時間で、競泳に必要な動きをどれだけ作れるか」

でした。

競泳のウォーミングアップでは、

  • 可動域
  • 姿勢
  • 体幹
  • 神経系
  • 出力

を、限られた時間で準備する必要があります。

そのため、

  • 種目数を増やしすぎない
  • 1種目に複数要素を持たせる
  • 水泳姿勢を再現する

ことが重要になります。

また、ウォームアップ研究では、

  • 動的ウォームアップは出力維持や向上に有利な可能性がある
  • 神経系刺激を含むウォームアップが競技パフォーマンスに重要である
  • 水泳でも陸上アップが重要である

ことが示されています (Behm et al., 2016; Neiva et al., 2014)。

今後は実際にスクールへ導入しながら、

  • 年齢
  • 種目
  • 練習強度
  • レース距離

によって調整していこうと思います。

参考文献

  • Behm DG, Blazevich AJ, Kay AD, McHugh M. Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review. Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism. 2016.【2016/01/01】
  • McGowan CJ, Pyne DB, Thompson KG, Rattray B. Warm-Up Strategies for Sport and Exercise. Sports Medicine. 2015.【2015/03/01】
  • Neiva HP, Marques MC, Barbosa TM, Izquierdo M, Marinho DA. Warm-up and performance in competitive swimming. Sports Medicine. 2014.【2014/03/01】
  • Neiva HP, et al. The Effects of Different Warm-up Volumes on the 100-m Swimming Performance. Journal of Strength and Conditioning Research. 2015.【2015/11/01】
  • Herman K, et al. The effectiveness of neuromuscular warm-up strategies. British Journal of Sports Medicine. 2012.
  • Wilson EE, et al. Respiratory muscle specific warm-up and elite swimming performance. British Journal of Sports Medicine. 2014.【2014/05/01】

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