shiroです。
先週の記事は画像を作成中なので完成したらまたお知らせします💦
今週は久しぶりにジュニアコース(泳ぎ方を習う)の子供に関する記事です。
クロール習得に必要な能力を理学療法的な観点で研究や私の現場の印象も踏まえてまとめていこうかなと思います。
選手の方々に対しても、基礎的な部分のチェックとして使えるのでぜひご覧ください!
はじめに
「もう何か月もクロールができずに進級できてない…」
スイミングスクールを大会される理由の中でよく挙げられる悩みです。
- バタ足が全然進まない
- 息継ぎができない
- 手が上手に回せない
- 手足がバラバラで動いている
このような課題を抱えている子は多く、これを解決に向かわせるところがコーチの仕事です。
課題を多く抱える子でも「センス不足」や「才能がない」わけではありません。
クロールは自由形という種目になるように、自由度が高く、それゆえに
- 姿勢制御
- 呼吸
- 使う筋肉の切り替え
- バランス能力
- 筋力
など多くの能力を同時に必要とする、高度な全身運動です。
つまり、
その運動を形づくる身体能力
を育てる必要があります。
今回は実際の現場でよく見られるフォームエラーをもとに、
「子どもがクロールを習得するために必要な6つの能力」
を、理学療法学・運動学・水泳バイオメカニクスの視点から解説します。
クロール習得に必要な6つの能力
さて早速その6つの能力とは、こちらです!

これから能力別に詳しく解説していきますね
能力① 水中でリラックスする能力
水に浮けない子ほど「力が入りすぎている」というのが私の印象です。
首を反らせる・肩に力が入る・顔が上がる→腰が沈むというパターンなのだと考えています。
息継ぎでは、これが治らないと
- 前を向いて息を吸おうとする
- 頭を大きく上げて息を吸おうとする
- 頭だけ動かして息継ぎ動作をしてしまう
といった動作になってしまい、下半身が沈む要因になります。
脚の方が筋肉量も多く圧倒的に沈みやすいため、頭を上げるとさらに重心が変わり下半身は沈みやすくなってしまいます。
クロールの呼吸では、本来、
- 身体をローリングさせる
- 胸郭を回旋させる
- 横を向く
ことで自然に呼吸します。
しかし、
「首だけで呼吸するクセ」
がついていると、
- 身体が回らない
- 顔が出ない
- 無理に持ち上げる
- 腰が沈む
という悪循環になります。
私はまずは体は動かさず浮く練習から始めたり、それも難しい場合は仰向けで息がいつでもできる環境で浮く練習を行います。
それから私の手を見ながら泳ぐように指示することで、自然と頭を正常な位置に戻しながら泳ぐ感覚をつかんでもらいます。
目線に意識が向くことで水中への恐怖心も薄れるのかなと考えています。
能力② 下肢をリズミカルに切り替える能力
子どものバタ足で最も多いのが、
- 足首がガチガチ
- 股関節が動かない
- 膝から先だけで蹴る
パターンです。
しかもこれらは単独ではなく、複数同時に起こっていることが非常に多いです。
ここで「ガチガチ」や「動かない」と書くと体がかたいのかな?と思うかもしれません。
もちろん首や股関節の柔軟性も重要ですが、実際は
その可動域の中で筋収縮を切り替えられるか
の方が重要です。
水泳の研究では、熟練者ほど筋活動タイミングが効率化されていることが報告されています。
つまり、
- 必要な筋を使う
- 不要な筋を緩める
「切り替え」が上手いということです。
●現場で改善しやすい練習順序
現場では、
① 腰掛けキック
↓
② プールサイド伏せキック
↓
③ ビート板キック
という順で段階づけて改善を図ります。
これは意外と効果的で、
上半身を固定した状態で、集中して股関節から動かす
経験を作ることが大事なのかなと考えています。
●陸上でおすすめの練習
- 縄跳び
- 高速足踏み
などは、
下肢のリズム運動や筋活動の切り替え練習として有効であり、選手の方にもおすすめです。
実際に私のスイミングスクールでは高速足踏みを取り入れた陸上アップを使っています。
能力③ 背中・肩甲帯を使う能力
これは選手にも不足しやすい能力です。肩甲帯とは、肩甲骨とその周りの筋肉をまとめていう言葉であり、「背中で泳ぐ」と言われるのはこの能力を指しています。
クロールでは以前の水泳バイオメカニクスの記事で解説したように、前側の大胸筋以外にも、背中の大きな筋肉である広背筋もとても重要です。(水泳選手の逆三角形を作るのも広背筋ですね)
また、肩甲骨に付着している
- 前鋸筋
- 回旋筋腱板
特に
肩甲帯ごと後ろへ引く感覚
というものがないと、
- 肘だけで回す
- 水中リカバリーになる
- 肩が詰まる
などのエラーが起こります。
最も多いと感じるのは「肩をすくめる泳ぎ」です。
- 肩甲帯が動かない
- 僧帽筋ばかり使う
- 肩をすくめる
パターンの場合、大きな筋肉である広背筋を使えず、肩周囲への負担が増えます。
●おすすめドリル
まずは、私は「肩に手を置いて肘を回す」という操作から始めます。
そこから、
- 両手同時
- 片手ずつ
- 腕を伸ばす
と段階づけていくと、実際の泳動作へ繋がりやすくなります。

能力④ 支えながら呼吸する能力
普通にバタ足できる子でも、息継ぎになると急にフォームが崩れることがあります。
特に多いのが、以下のパターンです
- 伸ばした腕が沈む
- 股関節が曲がる
- 身体全体が沈む
実は息継ぎはただ顔を横に向けるだけでは足りません。
息継ぎでは、
- 呼吸
- ローリング
- キック
- 片腕支持
を同時に行います。
つまり、
支えながら動作を行う
能力が特に必要になります。
この支えはただ腹筋に力を入れることだけでは足りません。
「回旋しながら安定させられるか」という部分を意識できるか、いかに練習でその状況に慣れるかが重要です。
水中では身体以外土台がないため、
- 動く部位
- 支える部位
を同時にコントロールする必要があります。
能力⑤ 肩関節を安定させる能力
これも効率的に泳ぐため、怪我のリスクを減らすためにも欠かせない能力です。
選手たちにもここが不足してしまっている子は一定数おり、エントリー(水に手を入れる動作)後手が体の中心から離れていってしまうケースがあります。
私の考えでは、回旋筋腱板が深くかかわっています。
回旋筋腱板は、肩甲骨に付着している複数の筋肉の総称で、肩甲骨を安定させ、結果的に肩関節全体の安定に寄与しています。
この回旋筋腱板の筋力が充分でないと、肩をひねる方向への負荷に継続的に耐えることが難しくなり、腕を水の中に入れて、かつローリングをするという負荷に抵抗できなくなってしまうのだと思います。
●改善方法
選手たちには回旋筋腱板強化のためのチューブトレーニングを勧めています。

能力⑥ 胸郭と骨盤を分けて回旋する能力
これまでローリングという言葉が何度も登場してきましたが、これは主に上半身を腕の動きに合わせて回旋(ひねる)テクニックのことを言います。
つまり、骨盤から下を回旋させることはローリングとは違うのです。
しかし、実際の現場では肩だけではなく骨盤から下、脚まで一緒に回旋させてしまう子が一定数います。
なにが問題かというと、胸郭と骨盤が完全に一体化して回った場合、
- 身体軸がブレる
- キック効率が落ちる
- 推進力が逃げる
可能性があります。
●実際の練習
立位または座位で行います。
方法①
肩に手を置く
↓
コーチをの鼻を見続ける
↓
上半身だけ左右にひねる
方法②
胸の前で輪を作る
↓
視線固定
↓
手が肩の横にくるまで上半身を左右にひねる
●理学療法的視点
これは柔軟性ではなく、
“分離運動(解離)”
の問題です。
小さい子では、体幹を一塊として動かすケースが多く見られます。
まとめ
泳法の習得はただやみくもに泳いでも達成できません(それこそセンスや才能の話になりますね)。
実際には数多くの能力が関係しています。
「体力不足」や「筋力不足」は実際に背景にあっても、週1のレッスンで成長させるのも限界があります。
したがってこれらに執着するよりも、
- 力を抜けない
- 使う筋肉のバランスが悪い
- 支える力を発揮できない
- 分離運動ができない
などの問題に目を向けて、フォームのエラーを見たときに、
どの能力が不足しているのか
を考えることが子どもたちのための指導であると考えています。



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