ストリームラインが崩れる本当の原因とは?理学療法学生コーチが解説する改善法とドローイン

shoroです。
国試の勉強進めてはいるものの、どんな風にすればいいかわかりません…
とりあえず実習後にブーストかけられるように基礎的な部分を過去問使って勉強中です。

その一環で今回は運動器よりな内容として、ストリームラインについて書こうと思います。
競泳において最も重要な姿勢であるストリームライン。
4泳法すべての土台となり、スタート、ターンを活かすために必要不可欠なものですが、

  • 他の選手より進みが悪い
  • 腰が沿っている
  • キックを打つと体全体が動く

といった選手は少なからずいます。
ストリームラインを習得することは非常に簡単ですが、レースにおける「武器」として使うにはストリームラインが崩れる原因を明確にし、直していくことが必要になります。

今回はそのストリームラインを武器にしていくための知識をまとめましたのでぜひご覧ください!

ストリームラインとは

改めて、ストリームラインとは、
水中で最も抵抗が少なくなる姿勢です。

両腕を頭上へ伸ばし、頭・体幹・下肢を一直線に揃えた姿勢を指します。
水泳では、

  • スタート後
  • ターン後
  • ドルフィンキック
  • 各泳法の姿勢保持

などあらゆる場面で基礎となる超重要なテクニックになります。

水中抵抗は速度が上がるほど大きく増加するため、わずかな姿勢の乱れでも減速につながります。
つまり、ストリームラインの質は泳速そのものに影響する重要な要素なのです。

●耳の横と頭の後ろ、どちらが正解?

一般的には

「腕は耳の横」

と指導されます。
これは身体を上から見た面積を小さくしやすいためです。

一方で、選手によっては

「頭の後ろ」

の方が良い場合もあります。

肩関節可動域や腕の長さによっては、無理に耳の横へ合わせると肘が曲がってしまうことがあります。

ストリームラインで重要なのは、耳に付けることではなく、身体全体を一直線に揃え、抵抗を最小限にすることです。

まずは肘が伸び、腰が反らず、頭から足先までが一直線になることを優先しましょう。

●ストリームラインセルフチェック

まずは以下を確認してみましょう。壁に背中を付けて立ち、腰を反らないまま両腕を上げます。このとき、

  • 腕が耳の横まで上がらない
  • 肋骨が前へ飛び出る
  • 腰が反る
  • 肘が曲がる

いずれかが起きる場合、身体機能の問題が隠れている可能性があります。

ストリームラインが崩れる4つの身体機能的背景

ストリームラインが崩れる背景には

  • 胸椎・胸郭の可動性不足
  • 股関節前面の硬さ
  • 肩関節・肩甲帯機能の不足
  • 体幹機能不足

があると考えています。

① 胸椎・胸郭の可動性不足

最も多い原因です。

腕を真上へ上げるためには、肩関節だけではなく胸椎の伸展が必要になります。

緒方ら(2023)は、立位ストリームライン姿勢において、上部胸椎伸展不足が腰椎前弯増加と関連することを報告しています。
つまり、

胸椎が動かない
→腕が上がらない
→腰を反る
=ストリームラインの破綻

という流れです。
多くの選手は、胸ではなく腰で代償しています。

②股関節前面の硬さ

股関節前面に存在する腸腰筋や大腿四頭筋がかたくなると、骨盤は前に傾き(前傾し)やすくなります。

股関節前面の柔軟性低下
→骨盤前傾
→腰椎前弯増加=ストリームラインの破綻

という流れです。
座っている時間が長かったり、普段の姿勢が悪かったりすると、腸腰筋が短くなり、柔軟性が低下する可能性が高くなります。

③肩関節・肩甲帯機能不足

腕を真上まで上げるためには、肩関節だけでなく、肩甲骨の上方回旋が必要になります。

  • 広背筋
  • 大円筋
  • 小胸筋

などが硬くなると、肩甲骨の動きが制限されます。
その結果、

  • 肘が曲がる
  • 頭が前へ出る
  • 腰を反る

といった代償が起こります。

競泳では肩関節の柔軟性と肩甲帯機能がストリームライン形成や肩障害予防にも重要であるとされています。

④体幹機能不足

最後は体幹機能です。ここで重要なのは、筋の強さだけではありません。
重要なのは、

  • 横隔膜
  • 腹横筋
  • 脊柱起立筋群
  • 骨盤底筋

が協調して働き、腹圧を適切に作れることです。

Liuら(2025)のメタアナリシスでは、コアトレーニングが若年競泳選手のパフォーマンス向上に有効であることが報告されています。ストリームラインにおいても、作った姿勢を維持する能力が必要になります。

おすすめストレッチ&トレーニング

適切なストリームラインを作るために、おすすめなストレッチを紹介します。
基本的に一回30秒以上伸ばし、呼吸を止めずに深呼吸しながら行います。
左右差がある場合はセット数で調整することがおすすめです。

●胸郭ストレッチ
両脚を広げて座り、片脚を曲げる。伸ばしている脚と反対側の手を脚に向けて倒し、体幹の横を伸ばす。

●腸腰筋ストレッチ
片膝を立てて座り、背筋を伸ばして前に出している脚に体重をかける。腰をそらさず、後ろ足を動かさないように腰のみを動かすのがポイント。

●大腿四頭筋ストレッチ
立った状態または横向きに寝た状態で片膝を曲げ、足首をもってお尻の方に近づけます。股関節は曲げすぎないように。

●ドローイン
ドローインとはストリームラインに必要な腹圧の入れ方の練習方法のことです。

レベル1:仰向けドローイン
腰の下に手を入れ、仰向けに寝転がります。
下腹部をへこませ、腰で手を押すように骨盤を丸める。
呼吸は浅く行い、腹圧を維持できるようにする。

腹圧チェックのポイント!
おへその横やそのしたあたりを押して、手がどれほど沈むか確認してみてください。
指が入らなければ腹圧が高まっています!

ここからはレベル1で高めた腹圧のまま、動きを取り入れていきます。
腹圧が高い状態でいろんな動きができれば、泳動作中の腹圧向上にもつながります。

レベル2仰向けドローイン+片脚挙げ(膝伸展)
レベル3ドローイン+膝立てお尻上げ
レベル4ドローイン+バードドッグ
レベル5ドローイン+立位ストリームライン
レベル6水中ストリームラインキック

まずは腹圧を高めるという感覚をつかむことが最重要です。
段階的な学習によって、確実にレースで使えるようにしていきましょう

まとめ

今回はストリームラインについて解説、おすすめストレッチ&トレーニングを紹介しました。

ストリームラインが崩れる原因は、単なるフォームの問題ではありません。
大きく関与するのは、

  • 胸椎・胸郭の可動性不足
  • 股関節前面の硬さ
  • 肩関節・肩甲帯機能不足
  • 体幹機能不足

ストリームラインは、スタート・ターン・ドルフィンキック・4泳法すべての土台です。

普段の練習では、ストリームラインを組む回数は何十回とあるはずです。つまり、何十回と練習、修正する機会があるということであり、身体機能そのものへ目を向けることで、より効率的な泳ぎにつながるはずです。

これを参考に水中姿勢を武器にしていただけたら幸いです。

参考文献

  1. 緒方嵩人, 山本敬三, 他. 立位ストリームライン姿勢における上部・中部・下部胸椎角度と腰椎角度の関連性. 日本水泳運動科学. 2023;26(1):27-34.
  2. Liu SF, Dai JM, Gou PP, Lin ML. The effects of core stability training on swimming performance in youth swimmers: A systematic review and meta-analysis. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. 2025;17(1):327.
  3. Nugent FJ, Comyns TM, Warrington GD. Strength and Conditioning Considerations for Youth Swimmers. Strength and Conditioning Journal. 2018;40(1):25-36.
  4. Bak K, Magnusson SP. Shoulder strength and range of motion in symptomatic and pain-free elite swimmers. American Journal of Sports Medicine. 1997;25(4):454-459.
  5. Tate A, Turner GN, Knab SE, Jorgensen C, Strittmatter A, Michener LA. Risk Factors Associated With Shoulder Pain and Disability Across the Lifespan of Competitive Swimmers. Journal of Athletic Training. 2012;47(2):149-158.
  6. Tsukada S, Hamaguchi Y, et al. 競泳×オンライン指導―胸郭を中心としたコンディショニング. NTT技術ジャーナル. 2021;12:50-57.
  7. 公益財団法人スポーツ安全協会. スポーツ外傷・障害予防プログラム 水泳編.

さらに詳しく学びたい方へ

  1. Kuhn J, Legerlotz K. Ankle joint flexibility affects undulatory underwater swimming speed. Frontiers in Sports and Active Living. 2022;4:948034.
  2. Heggy T. How Your Shoulders Might Be Slowing You Down. U.S. Masters Swimming. 2021.
  3. Maglischo EW. Swimming Fastest. Human Kinetics. 2003.
  4. Counsilman JE. The Science of Swimming. Prentice Hall. 1968.

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