【バタフライ編】バタフライのバイオメカニクス-タイムを上げるために知っておきたいこと

shiroです。今回も水泳バイオメカニクス、【バタフライ編】です。

バタフライは多くのスイミングスクールでも最後に習う泳法であり、身体の使い方というものが非常に重要な泳ぎになります。

この記事では、論文をもとに、バタフライを分解・分析しながらわかりやすく解説していきたいと思います。

バタフライの特徴

バタフライは、両腕・両脚を同時に動かす泳法であり、左右の動作が連動するというクロールとはまた違った特徴を有しています。

そのため、クロールよりもさらに上肢・体幹・下肢すべてを意識した全身の連動が重要になります。

複数の論文や書籍においても、体幹の安定性は、上肢と下肢の動きをつなげるために非常に重要な役割を果たすことを報告しており、バタフライではこの連動が崩れると一気に効率が低下します。

ストロークの分解

バタフライのストロークは以下のように分解することができます。

  • エントリー
  • キャッチ:ハイエルボーを作り、前に進む準備
  • プル:上肢に推進力が生まれ始める
  • プッシュ:上肢による推進力が最大に
  • リカバリー

●キャッチ〜プル

手が入水した後、ハイエルボーを作りつつ水を捉えます。

この局面では

  • 大胸筋
  • 広背筋

が主に働き、推進の準備・進行方向の決定を行います。

筋電図というどの時間にどれくらい筋肉が活動しているかみる研究においても、
これらが動作中に高い活動を示すことが確認されています。

プル〜プッシュ(推進局面)

プル後半からプッシュにかけて推進力は増加していきます。(Sanders RH et, al., 1999)

この局面では先ほどの筋肉に加え、

  • 上腕三頭筋

の活動が増加し、水を後方へ押し出す動きが強くなります。(Pink M et, al., 1999)

つまり、プッシュまでしっかりと水に力を伝えることが重要になると言えます。

キックの役割

バタフライのキックは、単純に推進力として捉えると不十分です。

まず、足部は水に対して力を発揮し、推進に寄与します。
足部では抗力と揚力が発生し、それが推進につながることが示されています。
(Arellano R et al., 2002)

また、キックに伴って発生する渦が推進に関与することも報告されています。
(von Loebbecke A et al., 2009)

ここまでを見ると、キック単体で進んでいるように見えます。

しかし実際にはそれだけではキックの意味を完全に理解していると言えません。

キックは運動連鎖の中で機能する

これがバタフライにおいて重要な考えだと考えています。

研究ベースにおいても、

  • 身体の各部位が時間差をもって動くことで推進効率が高まる(Sanders RH et al., 2005)
  • 水泳の推進は身体全体の協調運動によって生じる(Barbosa TM et al., 2010)

といったことが報告されています。

そもそも水泳は運動連鎖の中で強調しながらいろんな部位が動作しますが、バタフライはその成分が最も濃い泳ぎであり、それぞれの部位が独立していてはうまく泳げないと解釈しています。

キックの持つ役割を具体的に考えると、私は以下のものが挙げられると考えています。

・重心移動をスムーズにする
・動作のリズムを作る
・プルの効率を高める

●キックの筋活動

バタフライのキックもクロールと同様

  • アップキック
  • ダウンキック

の2つに分けられ、主に活動する筋肉が異なります。

◆アップビート

・臀筋
・ハムストリングス

→股関節伸展

◆ダウンビート

・腸腰筋
・大腿直筋
・大腿四頭筋

→股関節屈曲+膝伸展

重心移動と身体の動き

バタフライは歩行動作のような重心の上下動があります。
私はこの重心の移動が運動連鎖の理解と同じくらい重要だと考えています。

Barbosaらによっても
重心は上下に振動する軌跡をとることが示されています。
(Barbosa TM et al., 2005)

上下動は大きすぎると抵抗になるが、効率的な推進と運動連鎖を形作るためには必要不可欠です。したがって、バタフライにおいて重心の上下動は

推進につながる形でコントロールすること

が重要だと考えられます。

まとめ

今回は水泳バイオメカニクス、【バタフライ編】でした。

バタフライにおいてはこれまで他の記事にも少し触れてきた

  • 運動連鎖
  • 重心のコントロール

が重要です。

ここが難しいいからこそ最後に習うのがバタフライなのだと思います。

ドルフィンキックについては最近バタフライキックというそうですが、とても深く、重要な部分なので、またそこに特化した記事も作ろうと思います。

とりあえずは水泳バイオメカニクスシリーズはひと区切りついて安心です。

また今後も理学療法的視点で水泳という動きを紐解いていきたいですね。

参考文献

  1. Pink, M., Perry, J., Browne, A., Scovazzo, M. L., & Kerrigan, J.
    Electromyographic analysis of the butterfly stroke in elite swimmers.
    Journal of Sports Sciences, 1991;9(1):13–147.
  1. Sanders, R. H., Cappaert, J. M., & Pease, D. L.
    Wave characteristics of butterfly swimming.
    Journal of Biomechanics, 1999;32(1):9–18.
  1. Sanders, R. H., Takahashi, K., & Gonjo, T.
    Body segment coordination in butterfly swimming.
    Sports Biomechanics, 2005;4(1):1–16.
  1. Arellano, R., Pardillo, S., & Gavilan, A.
    Underwater undulatory swimming: kinematic characteristics, vortex generation and propulsion.
    Journal of Applied Biomechanics, 2002;18(2):151–158.
  1. von Loebbecke, A., Mittal, R., Fish, F. E., & Mark, R.
    A comparison of the kinematics of the dolphin kick in humans and cetaceans.
    Journal of Biomechanics, 2009;42(3):331–338.
  1. Barbosa, T. M., Fernandes, R. J., Keskinen, K. L., & Vilas-Boas, J. P.
    The influence of stroke mechanics into energy cost of elite swimmers.
    European Journal of Applied Physiology, 2005;94(3):274–279.
  1. Barbosa, T. M., Bragada, J. A., Reis, V. M., Marinho, D. A., Carvalho, C., & Silva, A. J.
    Energetics and biomechanics as determining factors of swimming performance.
    Journal of Science and Medicine in Sport, 2010;13(2):262–269.
  1. Sein, M. L., Walton, J., Linklater, J., Appleyard, R., Kirkbride, B., Kuah, D., & Murrell, G. A.
    Shoulder pain in elite swimmers: primarily due to swim-volume-induced supraspinatus tendinopathy.
    British Journal of Sports Medicine, 2010;44(2):105–113.

コメント

タイトルとURLをコピーしました