【水泳メニュー紹介】ルーレット練習&キック×体幹トレ|レース後半で失速しないためのトレーニング

Shiroです。最近研究が忙しくて春休みでも学校にこもって予備実験です…。ということで本日は簡単に私のメニューを理学療法的に解説していこうかなと思います。

私は大学でもメニュー作成係を担当していた時期があり、その時に考えたメニューと、コーチとして練習メニューを考えるときに思いついたメニューの2つを紹介していこうかなと思います。

ゲーム性のある面白いメニューになっているので、ぜひご自身のチームでも練習に取り入れてみてください。

今回の2つのメニューについて

今回紹介するのは

  • ルーレット
  • キック&プランク

になります。2つの練習について、はテーマは共通しています。

それは

「レース後半で失速しない身体を作る」

ということです。

競泳では、

  • 疲労した状態でのフォーム(再現性)
  • 体感の安定性
  • 姿勢
  • 呼吸
  • キック

といった要素が
レース終盤のパフォーマンスに大きく影響します。

今回は理学療法的な視点を交えてメニューの狙いを解説していきたいと思います。

また、ルーレットに関しては誕生日のチームメイトのために考えたもので、少し特殊な仕様にしてあります。

メニュー紹介①ルーレット

これは名前の通り練習の内容がルーレットで決まるというメニューです。

実際のメニューはこちら

大学でのメニューはExcelで作成しています。本来の本数は19本ですが、今回は誕生日祝いということで「19歳になる」という意味を込めてラストに19本になるように工夫してあります。

目的が似通ったメニューでは、どうしても単調になってしまいがちなので、メニューを作る際私は

モチベーションと効果の両立

を意識して、楽しさも交えた練習を取り入れることもあります。

●各セクションのメニュー内容

◆1〜5本(耐乳酸セクション)

1 Kick max fr
2 Pull max fr
3 Swim max S1
4 距離2倍 hard S1
5 距離1/2倍 dive max S1

こちらのセクションでは基本的には

スピードを出すメニュー

を中心にしています。

最初から強度を高く設定し、
乳酸を蓄積させる方向に誘導しています。

距離2倍はいわゆる「ハズレ枠」。

距離半分もダイブのために一度プールサイドに上がる必要があるので、実際にはそれなりにきついメニューです。

◆6〜10本(hypo)

1 hypo19
2 hypo10
3 hypo31
4 hypo6
5 hypo2024

この日は

  • 19歳の誕生日
  • 実施日が2024年(令和6年)の10月31日

だったので、それにちなんだ呼吸制限です。

hypo31やhypo2024については、

「実質ノーブレスじゃん」

と言われたのですが、その時はもちろん

「呼吸したかったら31回(2024回)かきましょう(^^♪」

と答えました。

◆11〜15本

1 wall kick 5s → turn → hard fr
2 0-dash S1
3 form S1
4 距離2倍 hard S1
5 距離3倍 locomotive

locomotiveは25m easy→25m hard→50m easy→50m hardとだんだんと距離が伸びつつeasyとhardが繰り返される練習です。

hypoは強度としては低めなのでこのセクションで再び負荷を高める設計にしています。

formはゆっくり泳ぐという意味ではありません。

あくまで

速く泳げるフォーム

を意識した泳ぎを意識してもらいます。

◆16〜18本(最後は全員でルーレット)

最後は全員で1つのルーレットを回します。

ここではsecretメニューを設定していますが、内容は全て1本追加です。その場で発表するという特性上ばれないので、面白さを優先しました。

1 secret(追加1本)
2 secret(追加1本)
3 secret(追加1本)
4 secret(追加1本)
5 secret(追加1本)

secretを引いた場合、

50m1本追加が発表されます。

つまり16本目で本数が19本であることが確定します。ただし何回も追加されると終わらないので、2回目以降は

  • hard S1
  • hard S2
  • hard S3
  • hard S4
  • hard IM

をall outで行います。

●このメニューの狙い

この練習の主な目的は

  • 耐乳酸能力
  • 最大スピード
  • 呼吸制限による泳効率
  • 疲労下のフォーム維持

です。特に意識しているのは

レース後半のパフォーマンス

です。

◆耐乳酸トレーニング

今回のメニューは基本的に、

50m max × long rest

という構造になっています。

cycleは3分。そのため毎回かなり高い出力で泳ぐことができます。

スプリント種目では

  • 無酸素解糖系
  • 乳酸蓄積

がパフォーマンスに大きく影響します。

競泳では100mレース後の血中乳酸濃度は
約14 mmol/L前後に達することが報告されています。
(Keskinen et al., 1989; Bonifazi et al., 1993)

そのため

最大強度

長い休息

再び最大強度

というトレーニングは耐乳酸能力の向上に有効とされています。(Maglischo, 2003)

耐乳酸能力の向上とはつまり、レース終盤でもスピードを維持できる能力の向上を意味します

神経系への刺激

メニューの中には

  • dive max
  • 0-dash
  • max swim

などの要素も入れており、これは神経系への刺激を目的にしています。

短時間の最大運動では
ATP-PC系(ホスファゲン系)が主要なエネルギー供給となります
(Bompa & Buzzichelli, 2019; McArdle et al., 2015)。

このようなトレーニングでは

  • 速筋線維の動員増加
  • 運動神経の発火頻度の向上

が起こります
(Enoka & Duchateau, 2017)。

その結果ピッチの向上につながります。

◆呼吸制限トレーニング(hypoxic training)

今回のメニューの特徴の一つがhypoメニューです。

自由形では呼吸の際に

  • 頭部回旋
  • 体幹回旋

が起こります。

この時に姿勢が崩れる選手は非常に多いです。呼吸回数を制限することによって、

  • ストローク左右差
  • 体幹のブレ

を減らす効果が期待できます。

また呼吸制限トレーニングでは

  • 呼吸筋の負荷
  • 二酸化炭素耐性

が増加することも示されています
(Maglischo, 2003)。

その結果、泳ぎの効率向上が期待できます。

メニュー紹介②キック&プランク

次に紹介するのがキック&プランクです。

内容はとてもシンプルで、まず2人1組を作り、

  • 一人が全力キック
  • もう一人が体幹トレーニング

を行います。

プランクなどの体幹トレーニングはペアがキックをしている間だけ行います。

キックを一人が終えたら30秒で交代。

ペアのどちらも終われば、片方がレーンを移動しペアを交換。

これを繰り返します。

●このメニューの狙い

このメニューの目的は

疲労した状態での体幹安定性

です。

競泳ではキックは泳速度に一定の推進力を与える要素であることが
バイオメカニクス研究で示されています。(Toussaint & Beek, 1992)

しかしレース後半になると多くの選手はキックが弱くなります。その原因の一つが

体幹の安定性低下

です。

●理学療法的に見る体幹の役割

体幹の役割は力の伝達を支える土台です。

体幹が不安定になると

  • 骨盤のブレ
  • 下半身の抵抗増加

が起こります。その結果としてキックの推進力が逃げてしまいます。

また体幹トレーニングは
競泳スプリントパフォーマンスの向上にも関連することが報告されています。
(Weston et al., 2015)

◆レース後半を再現する練習

このメニューでは

キック

体幹トレ

キック

という流れになります。つまり、疲労した体幹状態でキックをするという状況を作っています。

これはレース後半にかなり近い状態です。この状態でも腹圧を維持し体幹を安定させることで

キック効率の維持

を狙っています。

まとめ

今回紹介したメニューをまとめると

ルーレット
レース後半のスピードを作る

キック&プランク
レース後半でも崩れない身体を作る

という感じです。

競泳では技術 と フィジカルの両方が重要です。

今回のメニューはその両方を意識して設計しました。

今回のメニューはあくまでも一例で、メニューには理学療法の介入同様、無限の選択肢があります。その中で様々な要素からメニューを構築し、効果を最大限高めることがコーチの仕事であると考えています。

今後はnoteでも発信していくことを考えています。そこではブログでは書き切れなかったことや、もっと軽めの気づきや考えを書いたものに加え、私の日々のメニューを理学療法的に解説したものを有料記事として公開していこうと思います。

そちらもぜひご覧いただけると嬉しいです。

参考文献

Bonifazi M, Martelli G, Marugo L, Sardella F, Carli G.
Blood lactate accumulation in top level swimmers following competition.
Journal of Sports Medicine and Physical Fitness. 1993.

Keskinen KL, Komi PV, Rusko H.
A comparative study of blood lactate tests in swimming.
International Journal of Sports Medicine. 1989.

Toussaint HM, Beek PJ.
Biomechanics of competitive front crawl swimming.
Sports Medicine. 1992.

Weston M, Hibbs AE, Thompson KG, Spears IR.
Isolated core training improves sprint swimming performance.
Journal of Strength and Conditioning Research. 2015.

Maglischo EW.
Swimming Fastest. Human Kinetics. 2003.

Bompa, T., & Buzzichelli, C. (2019). Periodization: Theory and Methodology of Training. Human Kinetics.

McArdle, W. D., Katch, F. I., & Katch, V. L. (2015). Exercise Physiology: Nutrition, Energy, and Human Performance. Wolters Kluwer.

Enoka, R. M., & Duchateau, J. (2017). Rate coding and the control of muscle force. Cold Spring Harbor Perspectives in Medicine.

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